linpeasは、PEASS-ngプロジェクト(Privilege Escalation Awesome Scripts SUITE)の一部で、Linuxの権限昇格(Privilege Escalation)に役立つ情報を自動収集するスクリプトです。
ターゲットに侵入後の(主に権限昇格のための)情報収集作業に利用されます。
ヘルプの表示
06-Privilege Escalation ー linpeas から参照出来ます。


以下の3種類の調査スクリプトがあります。(上から、簡易版、普通版、詳細版といったところでしょうか)
- linpeas_small.sh
- linpeas.sh
- linpeas_fat.sh
ちなみに “06-Privilege Escalation ー peass” を選択した場合は下記のように表示されます。

下半分のwinpeasは、監査する相手がwindows環境であった場合の監査ツールです。
つまりlinpeasのwindows版です。
MacOSに対しては “linpeas” を使うようです(macもlinuxのため)。なので “macpeas” はありません。
linpeasの実行
侵入した先がlinux環境であった場合、そこでlinpeasを実行して、権限昇格の手掛かりを探索します。
(今回の場合、自分のlinuxシステム内の脆弱性を “linpeas” で監査します)
許可を得た環境でのみ使用してください。許可なく他人のシステムに対して実行することは、不正アクセス行為にあたります。
まずは、linpeas所在のディレクトリまで移動します。
cd /usr/share/peass/linpeas/

次に普通に “linpeas.sh” のスクリプトを実行します。
./linpeas.sh
若しくは、実行と同時にログを保存します。
./linpeas | tee linpeas.log
上の例は “linpeas.log” と名付けたファイルに保存しています。
実行結果の解釈
スクリプト別の監査の結果は以下の通りでした。
| スクリプト | 結果の行数 |
|---|---|
| linpeas_small.sh | 63行 |
| linpeas.sh | 5600行 |
| linpeas_fat.sh | 5672行 |
以下は “linpeas.sh” の実行結果(抜粋)です。
表題部

Basic Information

” linpeas_small.sh” ではここまでです。
System Information
バージョン、パッチレベルなど
未適用の脆弱性(CVE)があるか

Processes, Crons, Timers, Services and Sockets
実行中のサービス、設定ファイル、バージョン情報
サービスの設定ミスや脆弱性がないか

Network Information
ポート、ルーティングテーブルなど
外部への接続や内部サービスへのアクセス可能性がないか

Users Information
ユーザー、グループ、パスワードポリシーなど
弱いパスワード、不適切な権限設定がないか

Software Information

Files with Interesting Permissions
setuid/setgidファイル、書き込み可能な設定ファイルなど
特権実行可能なプログラムがないか

SUID/SGID
前回の投稿で取り上げた、ファイルのSUID/SGID権限の調査はこのpartで行われます。
ログファイルから ‘SUID’ と ‘SGID’ の含まれる行を選択しました。


Other Interesting Files

| チェック項目 | 内容 | 権限昇格の可能性 |
|---|---|---|
| カーネル/OS情報 | バージョン、パッチレベルなど | 未適用の脆弱性(CVE)があるか |
| ユーザー/グループ情報 | ユーザー、グループ、パスワードポリシーなど | 弱いパスワード、不適切な権限設定がないか |
| ファイル権限 | setuid/setgidファイル、書き込み可能な設定ファイルなど | 特権実行可能なプログラムがないか |
| サービス | 実行中のサービス、設定ファイル、バージョン情報 | サービスの設定ミスや脆弱性がないか |
| 設定ファイル | sudoersファイル、/etc/passwd、Webアプリケーション設定など | 機密情報(パスワード、APIキー)の漏洩や設定ミスがないか |
| ネットワーク情報 | ポート、ルーティングテーブルなど | 外部への接続や内部サービスへのアクセス可能性がないか |
まとめ
結果表示は色分けされているので、一般的には「赤表示」のものから見ていくようです。
でも調査で得られるデータの量が膨大すぎて正直、勉強が追いつかないです。
このページからは “linpeas” と “winpeas” それぞれの権限昇格チェックリストwikiへ辿れます。
なお、侵入した先にlinpeas(或いはwinpeas)を持ち込んで、これを実行する訳ですが、その運び込み方法・実行方法には色々な工夫があるようです。今回これは割愛しています。

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