今回は純粋な医療物ですが、どうしても書きたかったので。
主に10代〜20代の女性およびその保護者・関係者向けの話です。
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種していたなら死なずに済んだはずの子宮頸がんで、毎年3000人が日本で亡くなっているという話です。(ちなみに子宮頸がんに罹患する人は年間1万人です。)
子宮頸がんワクチンに関するお勧め動画
まずは基本ストーリーの理解にはYoutube動画が良いかと思います。
Youtubeで ” 子宮頸がんワクチン ” で検索すれば沢山の動画が出てきます。
検索上位の、以下2動画はいずれも優秀・良質な動画です。
時間の無い方用:早口だけど的確な解説です。(11分)
時間のある方用:ゆっくりで分かりやすい解説です。(36分)
両動画とも内容的には正確であり問題ない思います。
参考資料として厚生労働省の関連ページがあり、ここには一般向けリーフレットなど沢山あります。
さて、以上で私の言いたい事は殆ど終わりです。
ここから先は蛇足&屁理屈コーナーです。
これまでの経緯
動画視聴が面倒な方向けに、簡単なストーリーです。
- 2010年にHPVワクチンの接種始まり、2013年に定期接種化(小6〜高1の女性向け)。
- なぜか日本にだけワクチンの副作用(24種類の症状)が多発:テレビなどで大々的に報道される。
- 2013年ワクチン接種が中止される。(正確には ” 積極的勧奨の中止 ” でワクチン自体は打とうと思えば打てた時期である)
- 7割であったワクチン接種率は激減しほぼゼロ(0.3%)になる。
- しかし日本では中止中でも諸外国では普通にワクチン接種が続けられる。
- 2018年「名古屋スタディ」が発表され、ワクチンと副作用の因果関係が否定される。
- 2022年に日本でのワクチン接種勧奨が再開されるが今も接種率は3割程度。
- 子宮頸がんの死亡率低下において、日本は完全に世界標準から周回遅れとなってしまった。
子宮頸がん(HPV)ワクチンの種類
2価、4価、9価の3種類があります。
この数字は対抗できるウイルスの種類の数です。
つまり数が多いほど新しく優秀なワクチンです。(そして値段も高くなります。)
ワクチン名 | * | 対応するウイルスの型 子宮頸がん予防目的 | 対応するウイルスの型 尖圭コンジローマ予防目的 |
サーバリックス | 2価 | 16, 18 | |
ガーダシル | 4価 | 16, 18 | 6, 11 |
シルガード9 | 9価 | 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58 | 6, 11 |
副作用(副反応)について
ここではほぼ全てのワクチンに共通する非常に稀な副作用は横に置いておいて、10数年前にマスコミで話題になったHPVワクチン固有の副作用として取り上げられた症状のことを取り上げます。
機能的身体症状
HPVワクチンによって引き起こされる一連の多彩な症状は、今日では ” 機能的身体症状 ” と一括して呼ばれています。
その主な症状を厚労省のリーフレットより引用しています。
症状は全部で24種類あるそうです。この24症状はまとめて「機能的身体症状」と2014年に新たに定義されました。
その中の特徴的な症状についての解説です。
ワクチンと副作用の因果関係
さて機能的身体症状とHPVワクチン接種との因果関係は否定されました。
その根拠に「名古屋スタディ」があります。これが原著論文です。
ここでは「接種した人と接種しない人で副作用の発症率が変わらないので因果関係は証明できない」と結論づけられました。
私の解釈
「接種した人と接種しない人で副作用の発症率が変わらないので因果関係は証明できない」なんて、表現として分かりにくいですよね。
ワクチン接種の後に機能的身体症状が出ている人が現に居るにも関わらず、因果関係が無いとはどういうことでしょうか。
ここからは私流の解釈です。(公的な見解・解説ではありません。)
まずワクチン接種から機能的身体症状発症までの過程を2つに分けます。
- ⭕️ ①ワクチン → ②痛み : ②痛み → ③機能的身体症状
- ❌ ①ワクチン → ③機能的身体症状
①と②は因果関係あり。②と③も因果関係あり。
でも①と③は因果関係なしという理屈です。
①ワクチンのせいで②痛みが発生する。ここまでは因果関係があります。
そして②痛みのせいで③機能的身体症状が発生します。これも因果関係があります。
でもワクチン以外の他の原因の痛みでも機能的身体症状が発生すると考えます。(なので①と③は関係ない)
機能的身体症状は(名付けられたのは最近ですが)、太古の昔から元々人類に見られる症状であり、ある一定限度以上の痛みをきっかけに発症する様々な症状の集合体であるという解釈です。
分かりやすく言うと、例えば交通事故後の痛みでも機能的身体症状は発症すると言うこと。
確かに交通事故の後遺症で機能的身体症状に類する症状を発症した方を私は複数経験しています。
これまでの話を表にまとめるとこんな感じになります。
原因 | 後遺症 | 子宮頸がん予防効果 |
ワクチンの痛み | 機能的身体症状 | あり |
交通事故の痛み | 機能的身体症状 | なし |
つまりワクチンの痛みと交通事故の痛みは、同じように機能的身体症状を引き起こし、その正体は同じものです。
しかしながら、その大きな違いは子宮頸がんの予防効果の有無です。
副作用(副反応)の頻度
ワクチン副作用(副反応)の救済措置について
交通事故でも起こる症状であれ何であれ、ワクチンがきっかけで発生する機能的身体症状のような症状は起こらないに越したことはありません。
それでもある一定の確率で(癌になる確率よりははるかに低いけれども)HPVワクチン後に機能的身体症状が発症してしまいます。
そしてそれに対してはきちんとした救済措置が必要ですが、これも現在では整備されており以下は救済措置に関連する連絡先の情報です。
注射後の注意事項(厚労省リーフレット)
新型コロナワクチンとの比較
新型コロナはほとんどが軽症で治療法もあります。さらにウイルス感染は一時的。だからはっきり言うと接種する必要はないと思います。
HPVは持続感染で癌化します。子宮がんは症状に乏しく手遅れになりやすく、手遅れになると有効な治療法がありません。よってワクチン接種はするべきと思います。
新型コロナワクチン | HPVワクチン | |
ウイルス | COVID-19 | HPV |
感染形式 | 一過性 | 持続性(の場合あり) |
疾病 | 新型コロナウイルス感染症 | 子宮頸がん |
治療薬 | あり | なし |
ワクチンの副作用 | 稀:最悪死ぬ | 稀:機能的身体症状 |
新型コロナワクチンは副作用で稀に死ぬので、接種しない方が良いかと個人的には思います。
希少がん
欧米ではHPVワクチン接種が進み10年以上が経過した結果、子宮頸がんに罹る人が激減しました。
” HPVワクチン先進国 ” の、オーストラリアでは希少がんになってしまいました。
このように日本は完全に周回遅れになってしまいました。
うちの娘たちはどうしたか
私も3人娘を持っていますが、うちの3人娘のワクチン接種状況は以下の通りです。
ワクチンの種類 | 自己負担額 | |
長女 | 4価 | 無料 |
次女 | 2価 | 無料 |
三女 | 9価 | 9万円 |
次女
まず最初に打ったのは次女で、2010年の接種が始まった後、その対象年齢でしたので速攻で打ちました。
その時は日本で打てるワクチンは、2価ワクチン(サーバリックス)のみでした。
長女
次に長女は2010年時点では対象年齢からは上に外れていましたが、その後の特例措置で上の年齢でも接種が無料で可能となりました。
その頃には4価ワクチン(ガーダシル)が発売されたのでこれを打ちました。
三女
最後に三女は、2013年時点では対象年齢からは下に外れており、その後にワクチンが積極的に勧奨されない時代となりました。
まずは様子見をしていましたが、安全性確認の情報が出て打たせることにしました。
さらには海外で認可されている9価ワクチンが日本でも打てるようになるとの情報を掴みました。
そして9価ワクチンが日本で発売されるのを待って(発売されたばかりなのでまだ有料でしたけど)娘が自分で打ちたいと言い始めたタイミングで打たせました。
その1年後には9価ワクチンも無料化されました。(結果的にはあと1年待てばよかったかも。)
ちなみに1997年4月2日から2008年4月1日生まれの女性は期間限定措置で無料でワクチンを打てます。
期限は2025年3月までです。(ワクチン接種は完了するまでに半年かかります)
該当する年齢の女性には市町村からの通知がされています。
マスコミの責任
接種開始当初の時期(2010-2018)
2010年にHPVワクチン接種が始まり、のちに機能的身体症状と呼ばれる副作用が出始めた時、マスコミはこれを執拗に取り上げて、ワクチン接種事業を叩きました。
その結果2013年に積極的勧奨が中止されます。
マスコミによる悪評により結果的に日本のHPVワクチン接種事業は停滞してしまいました。
しかしこのマスコミ報道も、当初は仕方がない面がありました。
当時は副作用に関する研究・検証がまだ十分に進んでいなかったためです。
その後の時期(2018-2021)
しかしその後にHPVワクチンと機能的身体症状の因果関係は否定されました。(名古屋スタディ)
それでも日本では、マスコミの狙い通り(?)HPVワクチンの接種率が非常に低い状態が続きました。
当たり前ですが子宮頸がん死者数も減少していません。
この時期からは、マスコミの ” 予防し得る子宮頸がん死亡数についての不報道 ” という不作為があったとしか思えません。
マスコミは自分でやらかしたことを恐らく自覚はしているでしょうが、全くその責任を取っていません。
現在(2022- )
現在は副作用の救済措置も整備され、HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されています。
しかし残念ながら日本の接種率は欧米ほどには上がっていません。
一方、欧米からは子宮頸がんの罹患者数・死亡者数が著明に減少したとの報告が続々と出ています。
日本はとうとう ” HPVワクチン周回遅れ国 ” になってしまいました。
現在も3000人の、 ” もしもワクチンが普及していれば死なずに済んだはずの子宮頸がんでの死亡 ” が毎年続いています。
マスコミにはこの年間3000人死亡に対する結果責任の一端があるのではないでしょうか。
- マスコミはその使命としてこの3000人の死者達のことを特集して執拗に報道しても良いのではないでしょうか。
- 或いは命は助かったけど子宮を摘出して子供を産めなくなった女性のストーリーを執拗に取り上げてもらいたいものです。
- 少なくとも、当初の副作用強調報道と同程度の執拗さで、ワクチン推進の立場を示して欲しいものです。
これこそが毎年3000人の死者を作り出してしまったマスコミの罪滅ぼしではないでしょうか。
最近のマスコミの態度には「他人事感」が拭えません。
まとめ
一人でも多くの人が子宮頸がん(HPV)ワクチンを接種されるように、そして子宮頸がん撲滅の日が一日でも早く来ることを願っています。
なおワクチンも重要ですが、子宮がん検診もこれはこれで重要です。
ワクチンが対応していないウイルスによる僅かな癌の可能性を最終防衛する意味でです。
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