新型コロナワクチンのリスクコントロール

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今回は純粋な医療ネタです。

2023年5月からの新型コロナウイルスワクチン接種の推奨対象者は、65歳以上の高齢者、高リスク疾患患者、医療従事者となっています。これについての考察。

ちなみに私はワクチン反対原理主義者ではありません。私自身、60歳以上の爺さんかつ医療従事者なのでこれまで5回コロナワクチンを打っています。(1.ファイザー、2.ファイザー、3.ファイザー、4.モデルナ、5.ファイザーBA4.5)

疾患の軽症化

新型コロナウイルス感染症は3年前の登場時は、有名人からも死者が出て、死に至る恐ろしい病気としてデビューしました。しかしながらここ3年間の間に軽症化が進みました。死亡数は多いものの罹患数の母集団が多いためでもあり、死因も純粋な感染症のみの死因は少なく、高齢者などで元々併存していた合併症によるものが多いと推測されます。

「運が悪ければ死に至る怖い病気」から「累計で日本の人口の4分の1以上が感染した、多くの場合は治る病」に変わったと言ってもいいと思います。

初期の頃は感染者や周囲の人に向けられていた酷い差別意識が、最近は無くなっていることからも世間の認識の変化が伺えます。

副作用

新型コロナワクチンは開発当初より特に若年者の心筋炎などによる副作用死が少ないながら報告されていました。私も身近な例としては、妻の友人のその知人が20代で亡くなった例を知っています。

目的とするコロナウイルスの株が変わっても、ワクチンの製造方法自体は変わらない(RNAコードを変えただけ)ので、副作用である心筋炎などの発症率は理論上は変化ないはずです。

つまり最初は「死に至る病を予防するための仕方の無い稀な副作用」として容認できていたとしても、肝心の病気が死に至らない軽症の病気になってくれば、その副作用が問題にされ始めるのは当然の帰結です。

WHOの勧告

2023年3月28日にWHO勧告が発表されました。これによると3回目ワクチン接種の推奨度は、

  1. 優先度高いグループ:年齢や免疫不全状態の人
  2. 優先度が中程度のグループ:併存疾患のない健康な成人 (通常は 50 ~ 60 歳未満) と、併存疾患のある子供と青年
  3. 優先度の低いグループ:生後 6 か月から 17 歳までの健康な子供と青年
  4. 但し妊婦は、妊婦自身と胎児・6ヶ月未満乳児の両方の保護に有用

とあります。

リスクベネフィットの評価

主病による死亡率が下がり、副作用の死亡リスクの変化がないとすると、相対的なリスクベネフィット評価は悪化していくはずです。

高齢者

高齢者は副作用頻度が稀なので、リスクは少ないと言えます。ベネフィットについては感染予防効果は不明、重症化予防効果はあると思われますが、最近は感染後に内服する治療薬も出ていますしワクチン以外の手段もあります。まあデメリットが少ないので「打ちたい人はどうぞ」という感じでしょうか。

高リスク疾患患者

オミクロン以前の株の時代に重症化リスク患者の種類が決定されましたが、あまり死ななくなったオミクロン以降の時代にもそのデータが本当そのままに通用するのか。死ななくなった(=死亡データの数が集まらなくなった)だけに統計学的な検定が困難になっているのではないかと思います。

オミクロン以降の株が、それ以前の株と全く同じリスクと扱って良いのか。というエクスキューズは残りますが、リスクとベネフィットを各自で判断した後に打つのはOKではないかと思います。

若年者(の医療従事者)

若年者は打たなくても良いことになりましたが、医療従事者は若年でも打ちなさいということになっています。実は私はこれが問題だと思っています。

例えば若年者である医療従事者が、医療従事者だからという理由で副作用の心筋炎になる確率が下がるでしょうか。そんなわけはありません。

医療従事者に対するワクチン接種は、他人(患者や同僚医療者)に感染を拡大させないことを主に期待されている訳ですが、ワクチンは罹患時の重症化を防ぐだけで罹患率まで下げるかどうかは不明です。(他人に感染を広げるリスクを下げるのかどうかは不明です。)

まとめ

高齢者と高リスク者は希望に応じて打っても可です。エビデンスは不足しているながらも重症化防止という安心感を得るために。罹患後に後追いで治療薬を使う手段もあることを知った上で、若い人は副作用である心筋炎などのリスクも覚悟の上で。

医療関係者には真面目な人が多く、例えばコロナで外食が禁じられていた時期にはこれを実直に守り、若い一人暮らしの人は長い間自宅と職場を往復するだけの孤独な生活を強いられてきました。

自宅で副作用で一人で亡くなる場合はそのような一人暮らしの若い真面目な医療従事者です。(もし自宅に自分以外の人が居れば救急車を呼んで貰えますので、一命をとりとめる可能性は高くなります)

あまり死ななくなった病気に対して、これまで通りのある程度の副作用死(特に若年者)の確率があるワクチンを惰性的に打ち続けるというのはどうなのか。もはや若い医療者には打つべきではない(推奨されるべきではない)というのが私の意見です。

もちろん本人が納得の上でのワクチン接種までは禁止しようとは思いませんが、無言の接種圧力は止めて、本人の完全な自由意志で決めさせることが重要だと思っています。

WHOや厚生労働省、業界(メーカーやロジスティックス)を含め、これまでに言っていることとの整合性を図る必要があったりで、急に手のひら返しが言いにくい事情は察知できるんですがね。

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