macchangerはMACアドレスを偽装するツール。
MACアドレスとは
MACアドレスの機能
インターネットでパケット(小包)を届けるためには住所が必要です。
その住所がIPアドレスですが、それ以外に小包には名前も書きますね。自分の名前と宛先の名前。これがMACアドレスです。
遠方から小包がやって来る場合、当然自宅の住所を参照して小包が運ばれてきますが、ごく近所にまで小包が来た場合(具体的には最寄りのルータまで来た場合)は、「住所(IPアドレス)」ではなく、「名前(MACアドレス)」で小包の運搬を行います。
ご近所さんのお家は「X丁目Y番地」などと住所で言わずに、「佐藤さんち」とか「鈴木さんち」とか名前で呼びますが、あれと同じです。(若い方、すみません。少なくとも昔はそうでした。)
ルータ・スイッチ(町内会長)はご近所さんの名前(MACアドレス)を全部覚えていて、代表して小包の集配を行なっています。また住所(IPアドレス)と名前(MACアドレス)の対応表も持っています。
MACアドレスの一意性
MACアドレスはNIC(ネットワークインターフェースカード)・ネットワークアダプタに割り振られており、世界中で1つの番号として重複されないように管理されています。
例えば、有線LAN1つと無線LAN1つに接続できるPCがあったとすると、そのPCは2つのMACアドレスを持ちます。
下図は私のラズパイの例ですが、 ” 2: eth0 ” と ” 3: wlan0 ” の2つのMACアドレスを持っています。
黄色の部分がMACアドレスです。(一部マスクしています)
MACアドレスの構造
MACアドレスは、例えばこのような2桁ずつ6個、計12桁の数字です。
11:22:33:44:55:66
このうち前半の6桁がベンダー(NIC製造メーカー)に割り当てられた番号(ここを見ると製造会社がわかります)
後半の6桁が、メーカー毎に重複しないように割り振られた番号です。
このような仕組みで世界に1つだけの番号が割り振られています。
MACアドレスの偽装
さてここからMACアドレスの偽装です。MACアドレスは名前ですから、何らかの理由で偽名を使いたい時に偽装します。
世界に1つだけの自分の名前をバラしたくない時ですね。
Macchangerの起動
kali ー 09 Sniffing & Spoofing ー macchanger で起動します。
まずは現在のMACアドレスの確認
macchanger -s wlan0
上の行 ” Current MAC ” が偽名、下の行 ” Permanent MAC ” が本名。最初は偽名=本名となっています。
有線LANの方を見る場合は、 ” wlan0 ” の代わりに ” eth0 ” とします。
インターフェースを一時ストップする
通信継続中にMACアドレス変えちゃうと、行方不明の小包が発生してしまうので、一旦通信をストップします。
sudo ifconfig wlan0 down
有線LANの方を止める場合は、 ” wlan0 ” の代わりに ” eth0 ” とします。
MACアドレスの変更
sudo macchanger -A wlan0
有線LANの方を変える場合は、 ” wlan0 ” の代わりに ” eth0 ” とします。
” New MAC ” の行に新しいMACアドレス(=偽名)が表示されています。
なお、 ” -A ” のオプションの位置には、他に以下のようなオプションが入ります。
- -a 同種のベンダーでランダムに設定
- -A ランダムなベンダーで設定
- -e 同じベンダーで設定
- -p 元のMACアドレスに戻す
- -r 完全ランダムなMACアドレス
- –mac=xx:xx:xx:xx:xx:xx 指定したMACアドレスに設定
- -m xx:xx:xx:xx:xx:xx 同上
インターフェースを有効化
sudo ifconfig wlan0 up
これで偽装したMACアドレスによる通信ができます。
自分のMACアドレスを変えて正しい通信ができるのか
「名前変えちゃったら自分宛の小包が届かなくなるじゃん。」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、ご心配なく。
自分の改名については、そのことを即座に町内会長(ルータ・スイッチ)に届出ていますので、小包の誤配は起こりません。
まとめ
MACアドレスおよびその偽装の仕方についてでした。
厳密には偽装した瞬間に、世界で1つの名前ではなくなり、他と重複する可能性が発生します。しかしMACアドレスは「同じ町内」でしか使わないので重複が問題になる可能性は無視できます。
空中を飛ぶwifi電波の匿名性を高める為に、最初からMACアドレスをランダムに変更する(つまり偽装する)仕様となっているデバイスもあります。(iOSやAndroid、Windowsなど)
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