最近、私の手元にも肺炎球菌ワクチンの案内が送られて来ましたの投稿します。
肺炎球菌とは
細菌性肺炎の原因となる細菌の一つですが、肺炎だけでなく髄膜炎など危険な感染症を引き起こします。(むしろ髄膜炎の方が怖い)
菌は普段は口腔内に居て、これが誤嚥により肺に至れば肺炎が発症します。
口腔内にはもともと何百種類の何百億個の細菌が居ます。肺炎球菌もその一つ。
なので歯を磨きまくれば口腔内の菌量が減って肺炎予防に効果があります。
ただし乱暴な磨き方(血が出るくらいとか)は菌が血流に入る危険があるので逆効果です。
「正しい歯の磨き方」のyoutube動画があるので勉強しましょう。
なお、肺炎球菌には90以上の種類(血清型)があります。
ワクチンの種類
この記事のソースは65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方第7版です。
小児用のワクチン
赤ちゃんは肺炎球菌による髄膜炎の被害を受けやすく、重い後遺症が残るので出生後、早くワクチンを打ちたい所ですが、普通の大人用のワクチンでは効果がありません。
免疫力が未熟なため大人用のワクチンでは抗原(敵)として認識できず打っても無駄となるためです。
そこで免疫力の弱い小児用に、免疫力を活性化させるアジュバントが含まれている(免疫原性を高めた)結合型ワクチン(PCV)が開発されました。
小児期のワクチン定期接種スケジュールでは生後2ヶ月を過ぎたら一連の接種が開始されます(3回+追加1回)
最初は感染頻度の高い7種類の血清型に対応した7価のワクチン(PCV7)から始まりましたが、時代が進むにつれ段々と対応する血清型が増えて、7価→13価→15価→20価とワクチンの性能は進化中です。
現在は20価(PCV20)が使用されています。
なおPCV20は大人でも自費で接種可能です。
21価(PCV21)もありますが、これは他のワクチンとは守備範囲が異なる大人用のワクチンです。(商品名:キャップバックス。)既存のワクチンがカバーする菌の流行が減少してきた為、それを補完する目的で開発されました。
大人用のワクチン
高齢者に定期接種されるワクチンで、23価のワクチン(PSSV23)です。効果はおよそ5年。
65才以上の5の倍数の年齢時に定期接種が行われます。60才以上のハイリスク者も対象になってます。
定期接種制度外(自費)となりますが5年毎繰り返し打ち可能です。
免疫力の強い大人用ワクチン(PSSV)ですのでワクチン自体の免疫原性(免疫反応を引き起こしワクチンの効果を高める力)は小児用のPCVに比べて低いです。
高齢者が対象の場合はその肝心の免疫力が落ち始めていることが問題となりえます。
現状の肺炎球菌ワクチン接種制度
小児の定期接種は2ヶ月〜5歳児に対して、PCV20を使用して公費で行われます。
大人の定期接種は65歳以上の高齢者に対して、PSSV23を使用して初回のみ公費補助で行われます(自己負担があり、その負担額は自治体によって異なります)
大人は、小児用のPCV21又はPCV20を自己負担で接種できます。(接種間隔に制限あり)
| ワクチン | 小児用 | 大人用 |
|---|---|---|
| ワクチンの種類 | PCV20 (プレベナー20) | PSSV23 (ニューモバックスNP) |
| 定期接種時期 (公費負担あり) | 生後2ヶ月〜5才 | 65才以上 (60才以上かつハイリスク*) |
| 接種回数(一連) | 3回+1回 | 公費では1回 |
| 公費補助割合 | 100% | 自治体によって違う |
| 自費での接種 | ー | 可能 |
| 備考 | 大人でも自費で接種可能 | 5年毎に繰り返し自費で接種可能だが、 追加接種にはPCV20又は21が推奨(自費) |
*心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
ワクチンの重ね打ち
と、ここまでは分かりやすい制度なのですが、誰かがこんなことを考えました。
高齢者の免疫力が弱くなっているのなら、同じく免疫力の弱い子ども用のワクチンを高齢者に打てばもっと効くんじゃね?
これを研究した結果、本当に効果があるという結果が出てしまいます。
小児用→大人用
免疫ブースター効果が期待できる順序の組み合わせです。こちらが理想型です。
2つのワクチンの間隔は、1年〜4年の間隔を空けると良いそうです。
大人用→小児用
ブースト効果なし。別々に接種するのと同じです。
2つのワクチンの間隔は、1年以上の間隔を空けます。
将来像
子ども用ワクチンは7価→13価→15価→20価(→21価)と効果を持つ血清型が増えてきています。
なのでもうすぐ大人用の23価に追いつき追い越す日も近そうです。
そうなると、
種類さえ多ければ子ども用ワクチンだけで(それを大人にも打てば)いいんじゃね?
となりそうです。(近い将来)
まとめ
大人用ワクチン(PSSV23)の補助率は自治体によって違います。
引っ越す予定がある人でワクチン年齢の人は、ワクチンの自己負担の値段を調べて引越し先選択の参考とするのも一方かもしれません。
私はどうするか
今年肺炎球菌ワクチンの年齢も迎えました。公費補助の有効期間は1年間です。
公費補助対象となるワクチンは大人用23価のみです。(それ以外は完全自己負担)
これからPCV→PSSVの理想形で打つにはもはや1年間のインターバルを設けることが出来ません。
なので、とりあえずPSSV23を打っておこうと思います。(1年以上先にPCVを検討)
ワクチンの血清型別の対応状況
| 対応する血清型 | PPSV23 (商品名ニューモバックスNP) | PCV13 (商品名プレベナー13) | PCV15 (商品名バクニュバンス) | PCV20 (商品名プレベナー20) | PCV21 (商品名キャップバックス) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1, 4, 5, 6B, 9V, 14, 18C, 19F, 23F | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 3, 7F, 19A | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 6A | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 22F, 33F | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 8, 10A, 11A, 12F | ○ | ○ | ○ | ||
| 15B | ○ | ○ | |||
| 2 | ○ | ||||
| 9N, 17F, 20 | ○ | ○ | |||
| 15A, 15C, 16F, 23A, 23B, 24F, 31, 35B | ○ |

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