前回は取引所の中での取引の話でしたが、今回はそれを送金する話です。
正確には取引所の外に出金してブロックチェーンに記帳する話です。
資産の存在場所
資産の現物は世の中のどこにもありません。ただ “存在記録” の台帳があるだけです。
その台帳はブロックチェーンと呼ばれる、世界各所の公開サーバーに分散台帳として記載されている改竄不可能な台帳です。
但し取引所内にあるコインは全部を一括して分散台帳に記帳されており、取引所内のデータベース内で個別取引が扱われています。(多分)
そして取引所から出金する際に初めて個人の口座のブロックチェーンに記載されます。
| 記帳されている場所 | 備考 | |
|---|---|---|
| 取引所内 | 取引所内のデータベース | 取引所の内部不正やハッキング被害で内容が書き換わる可能性がある。 |
| 取引所外 | ブロックチェーン | 誰でも検証可能・改竄不可能な形で記録してある。 |
そういう意味では不動産の登記とも似ています。
| 不動産の登記簿 | 暗号資産の記録 | |
|---|---|---|
| 登記場所 | 法務局 | ノード(世界中に同コピーが多数存在) |
| 帳簿 | 登記簿 | 分散台帳(=ブロックチェーン:1通貨につき世界に1種類のみ存在する) |
| 書込む人 | 公務員(登記官) | マイナー(=採掘業者:高性能計算機の演算結果を台帳に記録する) |
| 書き込むタイミング | 登記申請があった時に登記が開始される | 10分間に1回、1MB分ずつ書き込まれる (上限4MB:2017〜) |
| 手数料 | 公定価格 | 多く払うほど早く書き込んでくれる。 |
| 備考 | 不動産の所有権者が記載される | 分散台帳に所有権者が記載される |
但し不動産と違って、資産の実体は存在しません。記録のみが存在し、それが通貨所有の証拠となります。
ハードウォレットに入れる作業の実体は、取引所から分散台帳に記録を移し替える作業です。
そして書込み時にコストがかかります。
ウォレットの正体
ウォレットは鍵の入れ物であり、その中身は鍵(=秘密鍵)です。お金は入っていません。(ウォレットの癖にです)
鍵がオンラインになっているかオフラインかの違いで2種類のウォレットがあります。
| 鍵がオンライン | ソフトウェアウォレット |
| 鍵がオフライン | ハードウェアウォレット |
鍵の保存先がオンラインでは、潜在的なハッキングの危険が払拭できないという訳で今回はハードウェアウォレットをお薦めされました。
なお、鍵の正体は一種の暗号であり、万一無くなったとしても後から合成できます。(この際に24語のフレーズを使用します。)
或いはUSB接続口が合わなくなり接続が出来なくなっても、新たにハードウェアウォレットを買い直して24語の暗号を元に設定をすれば鍵が再生できます。(ソフトウェアウォレットでの複製も可能)
逆に言うとこの24語が漏洩すると、悪意の第3者に鍵を複製されてしまいます。
この鍵は、ビットコインの送金時のみに使用します。(入金時には不要)
送金経路
具体的なデータの流れです。
TX(トランザクション)について
TX(トランザクション)とは資金移動をブロックチェーンに書き込んでもらう為の申請書です。
TXには、
- 出金側の署名(出金者の鍵を用いた署名)
- 送金先の口座番号(=公開鍵/アドレス)、送金額
- 記帳手数料
が記載されており、申請されたTXは記帳待ちの列に並びます。(記帳待ちの待合室を “mempool” と呼びます)
世界中から申請されたTXは1ヶ所に集められ、10分に1回記帳作業が行われます。
記帳手数料が実は重要で、手数料が多いほど順番抜かしをして先に記帳してもらえます。逆に少な過ぎると遅くなります。混雑時は最悪時間切れになると取引自体が不成立になることも。
普通、大体15分前後で記帳作業が終わります。(取引の確定には記帳後に6回確認の手順を踏みます。)
ハードウェアウォレットへの入金時
取引所内の出金手続きを行う(但し送金先の口座情報=自分の口座情報が必要)
自分の口座情報は、ハードウェアウォレット付属アプリにて確認出来る。
取引所からTX発行(取引所の鍵を使用)➡️ブロックチェーンに書き込み。
で終了です。
入金したばかりのこの状態をUTXO(未使用出力)と言います。(=残高のこと)
ハードウェアウォレットの鍵は使用しません。ハードウェアウォレット自体はこの取引では関係ありません。
取引の成功もハードウェアウォレット付属アプリにて確認します。
ハードウェアウォレットからの出金時
ハードウェアウォレットの付属アプリを使用して、
自分の鍵を使って署名して、送金先口座と送金額と、自分で手数料を決めたTXを発行する。
それが無事記帳されたら取引終了。
取引の成功は、ハードウェアウォレット付属アプリにて確認出来る。
送金の実際
今回、用意したハードウェアウォレットは “Ledger Nano S Plus” です。




上位製品の “Ledger Nano X” に比べてBluetoothが非対応なのですが、むしろ非対応の方が(セキュリティ上は)好ましいとの事。
具体的な手順は下記の通り。
- まず専用アプリでハードウェアウォレットを初期化(鍵生成)し口座情報を確認
- 次に取引所で出金手続き。必要情報を入力し試験送金実行
- 10数分待って、着金は(PC又はスマホの)アプリ上で確認、本送金
ハードウェアウォレット初期化
- 専用アプリを公式サイトよりダウンロード・インストール
- ハードウェアウォレットとUSB接続
- 指示に従い初期化
- 口座情報(公開鍵)を確認
3の段階でPIN設定や24語の書き留め作業があります。
ビットコイン用しか使わないので、そのアカウントのみ設定します。
出金手続
- 取引所にログイン
- 出金(出コイン)手続きを行う
口座情報はコピペで行いますが、その際にクリップボードジャックに注意。
クリップボード・ジャック: 万一PCがウイルスに感染している場合、アドレスをコピーした瞬間に「犯人のアドレス」に書き換えられることがあります。(犯人に送金されてしまう)
「ハードウェアウォレット本体の液晶画面」に表示されているアドレスと、送信画面のアドレスが一致しているかを目視での最終確認が必要です。
手数料は定額で、出金側(取引所)の払う分をこちらが負担する形で決められています。
取引所の手数料は相場よりやや多めになっているらしく、ほぼ確実に到達するようです。
着金の確認
出金実行後、14分ほどで無事着金が確認できました。
初期設定後のチェックリスト
- 自分で初期化した
- PINを設定した
- 24語を紙で2部保存
- 別場所に分散した
- 少額送金テスト済
アプリ “Ledger Wallet” で分散台帳の自分の口座残高を確認出来ます。

これはネット上の台帳を見ているだけなので、ハードウェアウォレットをその都度PCやスマホと接続する必要はありません。
試験送金の着金の確認後に、本送金も行いました。
ビットコインの出金時はUSB接続してTX(トランザクション)に自分の鍵でサインをして取引を行います。
相続対策
相続対策については以下の2項目(遺言状と年1回のメンテ)はchat GPTの提案です。
遺言状
【重要】Bitcoin(ビットコイン)について
― 万一の際に、この紙を最初に読んでください ―
1️⃣ これは何のための紙ですか?
この紙は、私が保有している「Bitcoin(デジタル資産)」を失わないための説明書です。Bitcoinは銀行預金と違い、特別な「復元用の言葉(24語)」がないと、誰も取り出すことができません。2️⃣ まず最初にしてほしいこと
✅ 絶対に捨てないでください
・この紙
・別に保管されている「24個の英単語が書かれた紙/金属板」
これらは 現金や通帳より重要 です。
3️⃣ Bitcoinはどこにありますか?
・USBのような小さな機械(「ウォレット」と呼ばれます)
・または、その中身を復元できる「24語の英単語」
👉 機械が壊れても、24語があれば復元できます。
4️⃣ 24語の英単語について(最重要)
・24個の英単語(順番も重要)
・これが 金庫の鍵そのもの です
❌ 絶対にしてはいけないこと
・写真を撮る
・スマホに保存する
・メールやLINEで送る
・他人に見せる
5️⃣ 自分で操作しなくても大丈夫です
Bitcoinの操作は難しいです。無理に触らなくて大丈夫 です。次のいずれかに相談してください:
・信頼できる家族
・弁護士・税理士
・仮想通貨に詳しい専門家
👉 その際、「24語がある」「ハードウェアウォレットを使っていた」と伝えれば話が通じます。
6️⃣ 売却して現金にすることもできます
Bitcoinは日本の取引所で円に換えて銀行口座へ振り込めます。
・すぐ売る必要はありません
・慌てて判断しないでください
7️⃣ 分からなければ、これだけ覚えてください
✔ この紙と24語は捨てない
✔ 勝手に操作しない
✔ 専門家に相談する
これだけで 失敗は防げます。
8️⃣ 最後に
これは投機ではなく、「非常時に備えた資産の一部」です。落ち着いて対応すれば、失うことはありません。
【保管メモ欄(本人が記入)】
24語の保管場所:__________
ウォレットの種類:__________
相談先(例:弁護士等):__________
年1回のメンテ
1️⃣ 物理保管チェック(最重要)
□ ハードウェアウォレット本体
□ 実物がある(紛失していない)
□ 破損・腐食・端子不良がない
□ PINロックが有効
👉 本体は壊れてもOKだが、紛失はリスク認知のサイン
□ リカバリーフレーズ(24語)
□ 紙/金属で存在している
□ 火・水・湿気から守られている
□ 第三者が見られない場所
□ 写真・デジタル化されていない
👉 ここが唯一の「致命点」
2️⃣ 「復元できるか」思考点検(操作不要)
※ 実際に復元操作は 原則しない
自問チェック
□ 本体が壊れても、24語で復元できると理解している
□ ウォレット名(例:Ledger Nano S Plus)を把握している
□ 復元方法を「検索すれば辿れる」自信がある
👉 実機テストより、理解の確認
3️⃣ 残高・アドレス整合性チェック
□ 残高確認(読み取りのみ)
□ Ledger Walletアプリ 等で残高が見える
□ 不審なTXがない
□ 送金予定のないTXが発生していない
👉 送金操作はしない
4️⃣ ソフトウェア・環境チェック
□ PC・スマホ側
□ OSが極端に古くない
□ 不審な常駐ソフトなし
□ 普段使いの端末とは別なら尚良い
□ Ledger Walletアプリ
□ 正規サイト由来
□ 更新通知を「理解した上で」適用
👉 「急いでアップデート」はしない
5️⃣ 取引所との関係整理(使っている場合)
□ 使っている取引所を把握
□ ログイン可能(2FA有効)
□ 放置口座になっていない
👉 BTCはウォレット、円は取引所
6️⃣ 相続・万一時チェック(年1回が重要)
□ 配偶者向け説明書
□ 紙で存在している
□ 場所が分かる
□ 現状と齟齬がない
□ 連絡先
□ 弁護士/税理士/信頼できる人
□ 生存している(冗談でなく重要)
👉 人が変わるのが最大リスク
7️⃣ 「やらないこと」チェック
□ 新しいウォレットを試さない
□ フレーズを入力するサイトを開かない
□ DM・メールの「危険警告」を無視
👉 年1回は詐欺耐性の自己確認
8️⃣ チェック結果の簡易記録(推奨)
紙 or メモ帳で十分。
まとめ
何だか最後は死ぬ前提の話になってしまいました。
まあ、人間いつかは必ず死ぬものです。
自分として一番悲惨な死に方は、認知症になって周囲に迷惑をかけまくり、死んだ時に家族から「ああ、やっと死んでくれた」と…これは悪夢ですね。
あと、量子コンピューターの進歩による将来的な計算能力の向上(による暗号解読力の向上)にも注視しておく必要がありそう。
<PR>

コメント