前回に続き、外付アダプタAWUS036ACU(ALFA802.11ac AC1200 MU-MIMO USBアダプタ)の動作検証です。
今回はKaliでのmanaged modeでの動作検証です。
managed modeとは通常の無線LAN子機としての動作モードです。
Kali linux on Raspberry pi 4Bでの動作検証
さて本番のKaliです。OSのバージョンは2024.1で、 カーネルは5.15.44です。
ラズパイに装着するとこんな感じ。外付アダプタが分不相応にデカい。というかラズパイが小さいというべきか。
ラズパイは4つのUSBポートのうち左2つがUSB2.0で中央2つがUSB3.0です。
下の写真は中央上段のUSBポートにアダプタを装着した状態です。
外付アダプタ ” AWUS036ACU ” は、チップセット ” RTL8812BU ” を搭載しています。
以下、ALFAのサポートページより
で実は、 ” RTL88xx ” は以前から、kali上で動作する(ドライバが開発されている)ことで有名(?)です。なのでこれを買ったわけです。
ALFAのサポートページの動作確認欄では、AWUS036ACU内蔵チップセットのRTL8812BUは、Kali2022.2との相性は ” partially ” となっています。
今回チャレンジするOSは ” Kali linux 2024.1 ” です。
ドライバのインストール
このページの中段あたりにドライバのインストールガイドがありますので、これに沿ってインストールを進めていきます。
最後に注意書きとして、ドライバをインストール後に外付アダプタを抜き差ししろと書かれています。
準備
1 ターミナルを開き
2 下記コマンドで ” dkms ” をまずインストール
sudo apt update
which dkms || sudo apt install dkms
” dkms ” を見つけてきてインストールしろとのこと。
ちなみに ” dkms ” とは、 ” Dynamic Kernel Module Supportの ” 略で、ドライバなどカーネルの深い部分を操作する時に使用するプログラム(フレームワーク)です。
ドライバのダウンロード
githubの所定の場所から外付アダプタのドライバをダウンロードします。
git clone https://github.com/morrownr/88x2bu-20210702.git
ドライバのインストール
ドライバをダウンロードした場所まで行って
cd 88x2bu-20210702
インストーラーを実行します。(インストーラーは実行型のシェルスクリプトになっています)
sudo ./install-driver.sh
結構な時間がかかりました。
インストール終了後、最後に設定を編集する画面に行くことが可能ですが、ここは当面そのままにしておきました。
ドライバの存在確認
本当にドライバが存在するかどうかの確認です。
find /lib/modules/ ‘uname -r’/ -name “88x2bu.ko”
これで何らかのファイルが検索に引っ掛かればOKです。
” /lib/modules/5.15.44-Re4son-v7l+/updates/dkms/ ” の場所に、 ” 88x2bu.ko ” というドライバファイルが存在しています。
これで確認は終了。無事インストール出来ていました。
ここで外付アダプタを抜き差し!
ルータとの接続
まずは普通にアクセスポイント(無線ルータ)と接続してみます。
ちなみにルータはBuffaloのWSR-3200AX4Bです。
外付アダプタをUSBポートから抜き差しするとインジケーターランプが点滅を始めました。どうやら認識されているようです。
ラズパイ本体の再起動は必要ありませんでした。
画面右上のWiFiマークをクリックすると外付アダプタが表示されています。
2つのWi-Fi Networksが表示されています。上段のBroadcomが内蔵、下段のRealtekが外付アダプタです。
それぞれ、Disconnect選択で切断。Avilable networksから繋ぎたい電波を選べます。
暗号方式はWPA2です(WPA3ははじかれます)
電波を選択後、パスワードを入力して接続出来ました。
同時に2つとも接続することが可能でした。
スピード比較
内蔵アダプタで接続(2.4GHzの電波で接続)
内蔵アダプタで接続(5GHzの電波で接続)
5GHzではスピードが上がっています。
外付アダプタで接続(5GHzの電波で接続)
外付5GHzは内蔵よりもスピードが出ています。
ダブルで接続(両方5GHz)
試しに内蔵と外付の両者とも5GHzで接続して測ってみましたが、あまりスピードは上がりませんでした。
両者を並行して操る作業にかえって時間がかかるのかも。
ネットワーク状態の検証
ここで、 ” ip a ” コマンドで自らのネットワークの状態を調べてみます。
ip a
4つのインターフェースが表示されています。
- 1: ” lo ” はループバック(自分自身への接続用)
- 2: ” eth0 ” は有線LAN接続名:繋いでないので ” DOWN ” と赤字で表示されています。当然IPアドレスも貰えていません。
- 3: ” wlan0 ” は内蔵の無線接続名:水色の文字で ” UP ” となっており、IPアドレス ” 192.168.11.21 (紫字)” をルータから貰っています。
- 4: ” wlan1 ” は外付アダプタの接続名:これも水色の文字で ” UP ” となっており、別のIPアドレス ” 192.168.11.19 (紫字)” をルータから貰ってきています。
その他IPv6の情報がありますが省略。
外付アダプタは ” wlan1 ” というインターフェース名であることが分かりました。
まとめ
外付アダプタAWUS036ACU(ALFA802.11ac AC1200 MU-MIMO USBアダプタ)のKali linux on Raspberry pi 4Bへのドライバインストール及び、無線LANへの接続を行いました。
しかしこの外付アダプタ、ここまでの印象では俄然期待が持てます。
ちなみに一度設定を覚えさせておけば、途中から外付アダプタをUSBに差し込んでも普通に自動接続されます。
続編はこちら:Kali on ラズパイでのモニターモードでの検証です。
コメント